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私は物心ついた頃から恋をしてる。 幼い頃はそれが何か分からなかったけど、中学に入る前には自覚した。 私は弟に恋をしていると。
双子の私たちはいつも一緒だった。 高校卒業して、弟が家を出るまでは。 弟が家を出ると言い出した時、一番猛反対したのは私だ。 当時、両親は外国暮らしだったし、幼い妹たちも初めの内はごねてたけど、弟の決心が覆せないと分かると諦めた。 所詮、二人で一人と公言している姉妹だから、兄がいなくなったところで支障はないと考えたのだろう。 でも、私は違う。 妹たちが二人で一人なら私たちだって二人で一人だ。 だから、私も行くと言った。双子なんだから、今までずっと一緒だったんだから。 一緒に行くと言った。
翌日、弟は忽然と姿を消した。 後に残ったのはガランとした部屋だけ。 綺麗に何も残さずいなくなった。
弟は昔から聡い子だった。 私が自覚する前から私の歪んだ愛情に気付いてたんだろう。 全人類を愛する弟。 そんな弟を愛する私。 歪みきっていてお似合いなのに。
私は上着に袖を通す。 一切連絡先を残していかなかった弟に会うために。 私は貴方の姉なの。貴方がどこにいるか分からない訳ないでしょ。 そう言ってやろう。
私は長い間イザヤに恋をしている。