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2010 12,12 17:41 |
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今年も後一月だ~。
12月って何でこんなに忙しいんでしょ。 クリスマスの話です。↓ 「何ニヤニヤしてるのよ、気持ち悪い」 波江は壁一面のガラス張りから街を見下ろしている雇い主を横目で見る。 臨也は笑みを貼り付けたままの顔を波江に向ける。彼の信者ならとろけそうになる極上の笑顔だ。 残念ながら波江の心は一人だけに向いているので、そんな笑顔を向けられても何とも思わないのだが。 「今日もこの街は素敵だ!俺の愛する人で溢れている。しかもクリスマスイブだからね!浮かれた人間達!いやあ、実に楽しいよ。この中の何割がキリスト教徒なんだろうねぇ。日本人はシャイだの奥ゆかしいだの言われるけど、お祭り好きな民族だよね」 「貴方だってお祭り騒ぎは大好きじゃない」 臨也はクツクツ笑い頷く。 「ああ、火種を放り込むのは好きさ。皆が踊っているのを見たいんだ」 「悪趣味ね」 「最高の褒め言葉だよ。ところで、まだ帰らなくて良いのかい?そろそろ愛する弟君の帰宅時間じゃ?」 波江は軽く臨也を睨む。 「・・・分かってて言ってるわね。今日はあの女と一緒に過ごすから遅くなるって」 あの女と言った波江は宙を睨む。その表情は先ほど臨也を睨んだものとは全く異なり、見た者を射殺せそうなほど鋭かった。 臨也は声を殺して笑う。 感情を露わにする人間の表情ほど面白いものはない。 波江は腕に抱えたファイルを書棚に整理しながら言う。 「貴方こそこんな所から高見の見物をしていないで出かけたら?」 臨也は首を傾げる。今日は外出する予定はなかったはずだ。 「あの男に会いに行けばと言っているの」 あの男。 波江の言う人物が高校時代からの仇敵兼恋人と知る。 冗談ではない。何故自分が愛おしいけど憎い相手に、しかもイベントに乗って行かなければいけないのだ。 「はっ、冗談でも言って欲しくないね。何で俺がシズちゃんに・・・」 その時、部屋に機会音が響いた。波江は急いで携帯を取り出す。 「誠二!?どうしたの!?」 弟との会話に集中した波江は頬を染め、うっとりと目を細める。 興味をなくした臨也はキッチンへコーヒーを入れに行く。戻って来ると波江は帰り支度を終え、ドアの前に立っていた。 「帰るわ」 「はいはい、お疲れ様」 さっきの様子だと弟とその恋人からクリスマスパーティーの誘われたのだろう。余計なおまけが付いているが、愛おしい弟とイブを過ごせる。珍しく浮き足たった彼女を止める理由もない。ひらひらと手を振り、PCに向かう。 「貴方も素直になってみたら?じゃあ、また明日」 彼女は余計な一言を残して帰っていった。 一人になった部屋で少し思案する。 PR |
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