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一人になった部屋で少し思案する。 チャットルームは無人だし、ロシア寿司へ行くか、ただ街をぶらぶらして声を掛けてきた者で遊ぶか。取りあえず今日は外へ出た方が楽しめそうだ。 コートを持って立ち上がると同時にカチャリとドアが開く。 波江が忘れ物でもしたか?とドアに目をやると今日は絶対会わないと決めていた人物が立っていた。 「・・・どうやって入って来たの?」 オートロックのマンションだから自分に連絡を入れないと入れないはずなのに。 「おまえの秘書って女が入れてくれた」 静雄は飄々と答える。臨也は舌打ちをした。自分が浮かれてるからってそんなお裾分けはいらない。 一方の静雄は出かける素振りの臨也に渋面を作る。 その顔はどこいくんだと問いかけていた。 適当にはぐらかそうと思ったが、波江の忠告が蘇る。 素直に・・・ねぇ。 「シズちゃん何しに来たの?」 臨也の問いに静雄は黙り込んでしまった。 素直に素直に。 臨也は心の中で呪文のように唱える。今日くらいは良いかもしれない。 「ね、シズちゃん。折角来たんだからお鍋食べながらクリスマスを楽しもうよ?」 思いの外あっさり出た言葉に自分自身で満足する。 静雄の答えはこの際どうでも良い。言えた事に意味があるのだ。 自然と笑みがこぼれた。 そして、次の瞬間には静雄の腕の中にいた。 自分の誘いは成功したのだと知る。 痛い!と文句を言いたいけど今は気分が良いし暫くこのままでも良いか。 臨也はその背中に腕を回した。。