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◆Doppelgänger その日は珍しく朝靄が掛かっていた。 日中は漸く春が感じられるようになって来たが、偶に気温がぐっと下がり、真冬に戻ったようになる。 今日はその真冬のような気候になるのだろうと静雄は手を擦り合わせ、息を吹きかける。 彼はそんな凍て付く寒さも嫌いではなかったし、早起きは得意ではないが、凛とした早朝の空気も嫌いではなかった。 早朝の池袋はいつもの喧騒が嘘のように静寂に包まれていて、後2時間もすれば人で溢れるのが想像出来ない位だ。 そんな中、静雄は先輩との待ち合わせ場所へ向かっていた。 勿論、普段はこんなに早い始業ではない。今日は特別だ。稀にあるのだが、奇襲作戦でないと捕まらない相手の時は、早朝に訪問するのだ。