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2011 04,30 21:49 |
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5/4、SCC20参加致します。
西2 V-17b うめぼし です。 新刊2冊、冒頭部分のサンプルをアップしました。 続きからどうぞ。 当サークルの配布物は全て18禁です。 18歳未満の方はお手に取ることが出来ませんので、ご注意下さい。 また、年齢確認をさせて頂きますので、年齢の分かるものをご持参下さい。 ご協力の程、宜しくお願い致します。 ◆Doppelgänger(A5、P86、R18) シズイザ←津軽+サイケ。 静雄の前に突然現れた臨也そっくりの人物。 静雄に『ドッペルゲンガーを見た者は死期が近い』と言う伝承を話した数日後、臨也は静雄が見たと言う自分とそっくりの人物と邂逅することになる。 CPご注意下さい。シズイザ、ツガイザ、サイイザです。 ツガサイじゃありません!! ◆one more time,one more chance(A5、P56、R18) シズイザ。 GW、臨也は新羅に呼び出された。そこには臨也と出会う直前、高校生にまで戻った静雄がいた。 新羅は少しの間、臨也に静雄の保護者になってくれないかと言う。 臨也BD本(・・・のつもりでした) ◆Doppelgänger 静雄は寒さと静けさに身を晒しながら仇敵兼恋人の事を思う。
付き合い出して数ヶ月経っても依然と激しい喧嘩をし、未だ掌握しきれないその人はとても寒がりで寝る時も靴下を着用する。そのくせ薄着なものだから、もっと着れば良いだろと言うと、肩が凝るから嫌なんだよと言って年中似た格好をしている。
まあ、あいつも今頃はベッドに潜り込んでいるだろう。
そんな事を思い、欠伸をしながら歩いていると赤信号に差し掛かった。車も走っていない道路、静雄以外誰もいない歩道。信号無視をしても咎める者はいないのだが、律儀な彼は横断歩道の前で立ち止まる。
乳白色の靄の向うに赤いランプが薄っすらと見える。こんな濃い靄は久し振りだと思っていると視線を感じた。
目を凝らすと反対側の信号機の下に人が立っているようだ。
『ようだ』と言うのは、靄が濃くて見通しが悪いのと、その人物が白い服を着ているらしく周囲に溶け込んではっきりしないからだ。
相手はこんな時間にバーテン服で出歩いている自分をいぶかしんでいるのだろうと思う。この時間にこの格好で歩いていたら、完璧に朝帰りのバーテンだ。誰に何と思われようと今更関係ないが。
胸ポケットから煙草を取り出し火を点ける。ゆっくりと紫煙を吐き出し、信号を見る。
信号はまだ変わらない。
赤を確認した目線を下げる。
その時、急に靄が割れたように散って行った。
視界が良くなり、信号機の下に佇む人物が良く見えた。そして見えた為、静雄は咥えた煙草をポロリと落とす事になる。
見覚えのない服装の上には見覚えのある顔が乗っかっていた。
真っ白いファー付きコートに真っ白いパンツ、白以外の色と言えば、音楽でも聴いているのかヘッドフォンだけが異なる色彩を放っていた。全身白で包まれた中でそのピンクは目に眩しい。そして、その白いファーに包まれた顔は先程思い起こしていた恋人である折原臨也の顔そのものだった。
「臨也?」
自身が放った言葉が己の鼓膜を震わせると同時に否定した。
あれは臨也ではない。
服装も白から黒に変えれば臨也だし、顔だって他でもない臨也だ。
しかし違う。
まず目の色が違う。
臨也の目の色は独特だ。赤みを帯びた茶色の瞳は、ともすると深紅に変わる。それは大抵、肉体的、精神的に興奮状態になると現れる。その状態を見る事が出来るのは限られた者で自分もその中の一人だと静雄は自負している。
今、対峙している者のそれはピンクをしていた。遠目から見ているので、実際はもっと異なる色味かもしれないが、珍しい色である事に変わりはないし、普通に考えれば人間の目の色ではない。
しかし、静雄は瞬時に自分の考えを打ち消す。
世界中探せばそんな色の目を持った人間もいるのかも知れない。妖精である首なしライダーの友人や己自身の怪力を鑑みて、あらゆる不可思議に免疫が付いた静雄は、最早どんな事でも受け入れられる柔軟さが培われていた。
そして何より、静雄は臨也が近くにいると肌で分かる。一瞬肌がピリッと痺れを感じるのだ。静雄はそれを『臭い』と表現しているが。今回、視線は感じても触覚の反応はなかった。
その結果、未だに自分を凝視している相手が臨也ではないと判じ得た。
では、あれは誰だ?また臨也が何か企んでいるのか?
その可能性は大だ。
何の為かは知らないが、他人の空似では済まされないレベルのそっくりさ加減に臨也の悪巧みだろうと結論付けた静雄は自然と眉間に皺が寄る。
仕事に行く前に新宿まで一発殴りに行ってやろうか。
不穏な考えが脳裏を掠める。
距離はあるが静雄の不穏な感情を感じ取ったのか、臨也の偽者は目を見開き、小さく口を動かす。読唇術を習得していない静雄には彼が何と言ったか知る由もない。
聞き取れない声音に益々険しくなる静雄の形相に今まで表情なく静雄を見ていた彼はにこりと口角を上げた。
その笑顔は臨也とは正反対と言って良いほど邪気のないものだった。静雄は一瞬呆けた顔をしたが、こいつは徒者じゃないと気を引き締める。己の苛立ちの感情を向けても怯まないどころか、笑顔を向ける事がそれを証明していた。
面倒事は早めに芽を摘んでおいた方が良い。
そう判断した静雄は横断歩道を挟んだ臨也の偽者を捕まえる事にした。捕獲したら誰の差し金が聞く事も出来る。
信号が青になった瞬間走り出す。
しかし、相手の反応の方が早かった。
信号が変わるほんの僅か前。軽やかに体を反転させると静雄から逃げるよう駆け出し、雑居ビルの隙間に滑り込んだ。
静雄もその後を追う。
それは臨也を追いかけているようだった。
体重を感じさせない、跳ねるような走り。その独特の走り方は臨也と同じ手法だ。
数十メートル先の角を曲がった白いコートの裾を目が捉える。
ここは静雄のホームグラウンド。標的が潜り込んだその先が行き止まりである事は知っていた。
壁を背に途方にくれているであろう相手を詰問するつもりで細い路地を走る。足の裏でブレーキをかけながら角を曲がる。
静雄は再び、瞠目した。
そこには予想に反して追いかけていたはずの人物の姿はなかった。
ただコンクリートの高いビル壁が聳え建っていた。
◆◇◆
微かな振動音で臨也は眠りの淵から引き上げられた。
就寝前にベッドヘッドに置いたのはプライベート用だったはず、とまだ覚醒しきっていない頭で腕だけを伸ばし音の発信源である携帯を探る。
指先に触れた無機質を手繰り寄せ、発信元を確認せずに通話ボタンを押す。この番号を知っているのは限られた者だけだ。
「・・・もしもし?」
寝起き特有の掠れた声が出て顔を顰める。
耳に当てた携帯からの反応はない。
声が掠れていたせいで聞き取れなかったのかも。
軽く咳払いをしてもう一度言う。
「折原です」
電話は無言を貫く。
代わりに小さく信号の音響装置からの音が聞こえた。
サイドテーブルに置いた時計を見ると、まだ6時前。
昨日、休んだ秘書の波江の代わりに書類整理を始めたは良いが思った以上に時間が取られ、ベッドに倒れこんだのは2時間前だ。
波江さんがいなかった頃は全部自分でやっていたのに慣れって人を退化させるね、急ぎの書類じゃなかったら絶対やらない等と長い独り言を呟きながら漸く眠りに就いたというのに。
「・・・用がないなら切るよ、シズちゃん」
こんな時間に電話を掛けて来て、しかも外にいる。そんな知り合いは腐れ縁で未だ納得しかねている(認めたら負けの気がする)が、所謂恋人である平和島静雄しかいない。
眠りを妨げられた為、不機嫌な声で確信を持って呼びかけるが、回線の向うからはやはり反応がない。
流石に訝しく思う。
「シズちゃん?」
その呼びかけに息を飲む音が聞こえた。
あれ?もしかして人違い?
臨也が発信者の名前を確認しようと携帯から耳を離しかけた時、良く知った声が鼓膜を揺らした。
「寝てたか?」
何だ、やっぱりシズちゃんじゃないか。
無意識に詰めていた息を吐く。
「当然でしょ。寝たの数時間前なのに叩き起されました。で、何の用?」
非難めいた事を言う臨也だが、非常識な力を持っているくせに意外と常識人な静雄は、普段こんな時間に連絡を寄越す事はない為、急用だろうかと用件を聞く態勢に入っていた。
一方、静雄は何の用と聞かれ、どう聞いたものかと考えあぐねていた。
寝ていたと言うことは自宅にいると言う事か。いや、実際聞いたことはないが、臨也は色んな所に隠れ家を持っているらしい。その中には池袋の物件もあるかもしれない。もしかしたら、ホテルに潜伏しているかもしれない。
いっその事、今見たものを話して関係性を問うのが一番早いか。しかし、本当に関係なかったら、最近少し大人しくなった臨也の悪戯心を刺激しかねない。
また押し黙った静雄を不審に思った臨也の声が聞こえる。
「おーい?シ~ズちゃん?」
迷っていても仕方ない。
「家にいるのか?」
我ながら直球な聞き方だと思うが、面倒臭いのは苦手だ。静雄はごちゃごちゃ考えるのを止め、聞きたい事だけを聞く。
「え?そうだけど・・・寝てたって言ったよね」
「お前さぁ、双子の兄弟なんているか?」
今度は臨也が押し黙る。
今更何を言っているんだ。
「いるよ」
「!?いるのかっ!?」
◆one more time,one more chance 考えてみて欲しい。
出会い頭、開口一番「気にいらねぇ」って言われたら君はどう思う?
普通なら聞き間違いを疑って聞き返した後、憤慨して二度と顔を合わせるもんかと思うんじゃないかな。まぁ、どうしても顔を合わせなきゃいけない場合もあるけど、それでも極力避けようとするのが人間ってものだと思うんだよね。
でも、実際「気に入らない」って言われた俺は、一般的な反応とは逆に興味を持った。その言葉を言い放った平和島静雄に。
言われた時はおやと思った。
幼い頃から人を見るのが好きだったから、初対面の時、どんな表情をすれば相手の警戒心を解くことが出来るか、どんな顔で微笑めば好印象を与えるかは熟知していた。
その経験を生かして臨んだはずなのに、彼は俺を拒絶した。
彼の噂は新羅から聞いていたし、その人間離れした力を目の当たりにして、利用できればと接近を試みた俺の下心を見事看破したわけだ。
尤も、彼は俺の表情の裏の裏を読むなんて妙技を駆使した訳じゃなく、ただ本能に任せての発言だったと後々の彼の単細胞的な行動でも分かる。
しかし、その馬鹿に出来ない野生の勘で、シズちゃんは俺の数々の罠をぶち壊してくれた。彼に仕掛けたものも、そうでないものも。ホントに厄介な野生動物と舌打ちした回数は数え切れない。
そんな出会いから数年。
双方歩み寄りの精神なんて持ち合わせてないから顔を合わせる度に大喧嘩。俺は多分シズちゃんの怒ってない顔はもう思い出せないんじゃないかってくらいの不仲さまでに発展した。
高校を卒業した後もこんな関係が続くとは思っていなかったし、依然、何が気に入らないかも不明のままだ。聞いたところで「全て」と返って来るのは目に見えているから聞かないけど。全てなんてある訳ない事に気付いて欲しい。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって言うように、大本になるものがあって、それに付随するように全てが嫌いと言うのは分かる。俺はその根本が知りたいのだ。
あ、これは飽くまで今後の参考としてであって、直そうとかそう言うんじゃないから。
大体、シズちゃんも悪い。
俺が池袋へ行くと必ず嗅ぎ付けて追い掛けて来るんだから。居場所が分かるなら避けて通れよ。
だから4月下旬、今日からGWと浮かれ気味の街を散策していた最中に掛かってきた新羅からの電話に俺は渋面を作った。
内容が池袋にある彼の自宅に来いと言うものじゃなかったらもっと鷹揚に対応出来るのに。
池袋は鬼門だ。これは丁重にお断りするしかない。
「悪いけど用があるから」
そう、愛して止まない人を観察するって言うね。
新羅が肩を竦める姿が目に浮かぶ声が電話越しからする。
「また良からぬ事を企んでるのかい?私やセルティに迷惑が掛からなきゃ何でも良いけど、君の数少ない友人として忠告するよ。いい加減にしないと痛い目を見るよ?」
そんなの今更だ。
何かを得るには少なからず犠牲を払わなきゃならない。その代償を大きいと感じるかは個人の価値観になる。
「はは、忠告痛み入るよ。お礼と言っちゃ何だけど俺からも一言。君がこの連休を平和に過ごしたいなら俺は池袋に行かない方が良い。例の如くシズちゃんに見つかって治療を頼みに行くことになるから」
俺の至極尤もな意見にも新羅はどこ吹く風。さらに言い募る。
「だからこそ君を呼んでるんだよ」
だからこそって何。俺が怪我するのを待ってるのか?
「兎に角、奇々怪々。君の好奇心も満足することを請け合いだ。じゃ、待ってるからね」
電話は一方的に切られた。
顎に手を当てて少し考える。
俺の好奇心を擽るものって何だろう?
世界の中心は運び屋と思っている新羅が珍しく興奮していたのも気になる。
シズちゃんに見つかるリスクを負ってまで新羅に会いに行くのは癪だが気になるものは仕方がない。
俺は時として厄介な自分の好奇心を満たすべく駅へ向かった。 PR |
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