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2011 08,04 22:53 |
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もう8月です。
家の前に拳大のカエル様がおられたーーー!! でかいよ!怖いよ!! 魔物の夢 ↓ 夢を見た。 見たのだと思う、恐ろしい夢を。だから目覚めた時、良かったと思ったのだろう。 内容を覚えていないことに安堵する。どうせろくなもんじゃない。 電気は点けずに手探りでタバコを探す。 どこかに夜の魔物が潜んでいて、明るくなった途端襲いかかってくるような気がして点けられない。 馬鹿な空想だ。化け物がいたって拳を振り上げれば撃退できる。そんな望んでもいない力が自分にはある。 安物のライターはカチカチと火花が散るだけで一向に火が灯らない。 諦めてタバコを握り潰す。クシャリと紙の立てた音が脳裏に覚えていないと思った夢の断片を呼び起こした。 夢の中で誰かを傷付けた。 タバコのように、細い首をへし折った。 殺したいと思っている相手は一人しかいない。 殺して自分だけのものにしたい。 実際、容易く出来るだけの力があることを幸運には思えない。 恐ろしい考えに両手で顔を覆う。自分の荒い呼吸だけが部屋に響く。 そこに無機質な音が加わり、滑稽なほど驚いた。 八つ当たりと分かりながらも、乱暴に発信元を確認する。 ギクリと心臓が跳ねると同時に安堵した。 まだ殺してない、と。 当然だ。あれは夢なんだから。 それでも震える指を叱咤して通話ボタンを押した。 夢を見た。 落の底に落ちていく夢だ。 底には自分が関わって不幸になった人間がいるのだろう。悲鳴や呪詛の声が聞こえた。 恐ろしい夢なのに冷めた目でどこまでも続く漆黒の闇を見つめる。 自分の行為が人でなしで救いようがないのは誰よりも分かっていた。 恨みたくもなるだろう。 呪詛も甘んじて受けてやるさ。いや、そんなもんじゃ生温いって思ってるだろう?俺の愛する人間たち。 目を閉じて重力に身を任せる。 この詰まらない世界から墜ちていけると思った。 加速する落下速度も一つの声で止まる。 恨まれるだけの自分を求める声に、目を開けた。 広がるのは間接照明に照らされた高い天井。 ああ、もう少しだったのにまた行けなかった。 望む場所に行けなかった不満と、あの人に望まれて戻って来る歓喜が混ざりあって胸に押し寄せる。 起き上がりコートを羽織ると部屋を出る。 今は魅惑の奈落よりも、行かなければいけない場所がある。 暗闇で怯えながら自分を求める、あの人の元へ行かなければ。 夢で見たような漆黒の闇を迷いなく進んだ。 『こんばんは』通話ボタンを押すと同時に、こちらが口を開く前に話し出した相手に安堵する。 無言を貫くと『寝てた?』と聞かれた。 当たり前だ、何時だと思ってやがる。 言葉は出なかった。 その無言を肯定と捉えたらしい。 『君が夢に怯えてるんじゃないかと思ったけど杞憂だったようだね。じゃ』通信が切れる前に出たのは制止の声だった。 「待て」掠れた、いつもより低い声が出る。 「今から行く」 途切れていないはずの回線からは何も聞こえない。 暫くして静寂が破られた。 『必要ない』 「行く」 駄々っ子のように言う。 『来なくて良い。シズちゃんがドアを開ければすむ話だから』 ベッドから抜け出し、廊下とも言えない短い通路兼キッチンを二、三歩で駆け抜ける。 鍵を外すのももどかしく、ドアを開けた時には勢い余って外に飛び出した。 正面にも右にもいない。 相手の性格を鑑みて、また騙されたかと疑惑が脳裏をよぎった時、笑い声がした。 「慌てすぎ」 開いたドアの向こうから顔だけを覗かせている。 切れかかって時々点滅する常夜灯の中浮かぶ顔は美しく、ああ、魔物だ、と思う。 魔物は美しい姿で人を誑かすと言う。 この姿はそのために与えられたのだろう。 その手を引き、折れそうに細い体を腕の中に閉じこめる。 温かい。生きている。まだ、大丈夫だ。まだ自分の理性は焼き切れていない。 今だけは、互いしかいない夜だけは、この魔物は自分のものだ。 腕の中で身じろぐ相手を逃がすまいと力を込めると、痛いのかくぐもった声を上げた。 背中に回された手が慰めるように上下にさする。 「シズちゃん、夢の中で俺のこと呼んだでしょう」 指摘されて気がついた。そうだ、何かを叫んで目が覚めた。それは腕の中の憎く、愛おしい人の名前だった。「恐がりな君のため一緒に寝てあげる。良い悪夢を」 臨也は愉しそうに笑った。 PR |
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