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2011 10,20 21:48 |
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10/23のスパーク、参加します。
スペースNo. エ 16a うめぼし 新刊は『これは未来に続くはなし』です。 シズちゃんが臨也を追い掛け回す話(色んな意味で)です。 シズイザですが、ちょこっと四木←←←イザです。 正直、出せると思わなかったです・・・ サンプルです↓ 屋上まで登り詰めた臨也は、俺がまさかここまで追いかけてくるとは思わなかったようで、膝に手をついて肩で息をしていた。 ここまで長引いたチェイスは久々だった。 「息も切れてないってどうなの。ほんと、いい加減にしてくんないかなぁ」 俺を睨み上げながら憎まれ口を叩く臨也の腕を捻り上げる。 「った!痛いって!!」 「誰と会うって?」 苦痛から逃れようと体を捻っていた臨也は動きを止める。 「え、そんなこと聞くためにここまで追いかけて来たの?暇人は違うね。って言うか、シズちゃんに関係ないだろ。もう離せよっ」 眉間に皺を寄せて無駄だと分かっているだろうに、暴れ出す。 他の奴等には涼やかで、耳障りの良い声も、俺相手だと一変、棘々しい声になる。 関係ないか。そうだな、関係ねぇよな。俺がお前の考えてることを知りたいと思ってるなんて、手前は夢にも思わないんだろうな。 何一つリンクしない感情が悔しくて、奥歯を噛み締めると手にも力が入り、臨也の体が痛みと恐怖に震えたのが伝わってくる。 殴られると思ったのか、臨也はぎゅっと目を閉じた。 その顔を見て後悔する。 臨也を怯えさせたことにじゃない。 走ったせいで血色の良くなった顔。中でも頬は綺麗に紅潮し、汗ばんだ卵みたいな額に漆黒の髪が一筋貼り付いていた。体温が上がったせいか、臨也自身から香る甘い匂いが強くなる。 俺にしか感じられない臨也の匂いだ。 額に貼り付いた髪を払い、米神まで指を滑らせる。目の下を出来るだけ優しく撫でると、堅く閉じていた瞼がふるりと揺れ、ゆっくり開く。そして限界まで見開かれた不思議な色をした目がじっと俺を見た。 口は真一文字に結ばれていたが、俺の行動に驚いたのは確かで、それは本日2回目の取り繕うことを忘れた素の表情だった。 正直に言うと可愛かった。断じて惚れた欲目じゃない。 可愛かったのだ。 2回言ってしまうくらいには可愛かった。 俺たちは暫く無言で互いを見ていた。 所謂、見詰め合っている状態だ。 その時間が長かったのか、短かったのかも分からない。 先に変化を見せたのは臨也だった。 頬の赤みが増すと、それはじわじわ範囲を広げ、耳、そして首まで赤く染まった。 おもしれぇ。 そう言えば、こんなに優しく触れたのは初めてだ。いつも痣の残る強さでしか触ったことがなかった。 俺も傷付けないで臨也に触ることが出来るんだな。 その発見は驚きであり、嬉しさでもあった。 臨也が俺の視線に気付く。 「何、見てんだよ」 赤い顔のまま毒付かれてもなぁ。締まんねぇよ。 その強がりが余計、可愛いく思えて、掴んでいた腕を強く引く。 突然のことに息を飲み、されるがままに胸に飛び込んできた体に覆い被さるように腕の中に閉じ込めた。 距離がゼロになり、一層強く香る匂いを胸一杯に吸い込む。 俺しか感じない、甘い果実のような匂いに、こんなに強く香っているのに、何故周りの奴らが気付かないのか不思議に思う。 腕の中にすっぽり収まった痩せた肩がびくっと震える。鼻先を埋めていた旋毛から離れ、顎を引いて下を見ると、身長差のせいで表情は見えないが、黒髪から覗いた耳は真っ赤だった。 匂いと色。嗅覚と視覚から入ってきた情報は、俺を堪らない気持ちにさせる。 上手く表現出来ないが、「美味そう」と言うのが一番近い感覚だ。 今すぐ、口に含んでぐちゃぐちゃに舐め回して、腹の中に入れてしまいたい。そんな獣じみた思いが思考を埋め尽くす。甘い匂いも、サクランボみたいな紅も食われるためにあるに違いない。 そう思った時には、赤く柔らかい耳に噛みついていた。 PR |
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